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一杯のコーヒー ベトナムの話④

  • aikondou
  • 2025年12月19日
  • 読了時間: 3分

一杯のコーヒー


待ち合わせ場所には、

約束通り、先ほど町で出会ったあの女の子が。


そして、女の子の家族が勢揃いで、出迎えてくれました。

お父さん、お母さん、、一人ずつ紹介をしてくれました。


そうしているうちに、

女の子と同じ年頃の少年少女たちが7、8人自転車でやって来ました。

そこからみんなでパーティ場所に移動するようでした。


この時点で危険はないとほっとしたことを覚えています。



パーティということでしたが、

カフェで、庭のようなところにプラスチックでできたイスに座り

そこでコーヒーを飲みながら、みんなで話をするというスタイル。


高校の同じクラスの仲間のようで、

すごくいい子で、全員が英語で会話をします。


「将来の夢は?」と聞かれ

私は「銀行に勤めるんだ」と答えました。


みんなにも同じ質問をしたところ、


「自分も銀行に勤めたい!」

「学校の先生になりたい!」

「タクシーの運転手になりたい!」

と、色々な回答が出てきました。


そして、最後にここに誘ってくれた女の子に聞くと、

「私は日本に行きたい、日本に行って、日本語を勉強したい!」

という返事でした。


異国の人から「日本に行くことが夢」という言葉を聞いて、

私はとても胸が熱くなったことを覚えています。

みんなピュアでいい子だなあと思い、

気持ちも暖かくなりました。




そんな楽しい時間はあっという間に過ぎ、

気づくとお会計の時間になりました。


「この子達は高校生、

私は学生だが、彼らよりはお金は持っているだろう

ここは自分が全部払おう」

と思いました。


そこで彼女たちに「いくらですか?」と尋ねたところ、

意外な回答が返ってきました。


「いや、あなたは支払はしなくて良い」


とのことです。


その言葉に呆気に取られていると、

こそこそとベトナム語でみんなで話し合いをしているではありませんか。


どうやら、支払をどう割るのか、

私の分まで払おうとしている様子でした。



ふと冷静さを取り戻して、私が、

「払う!払う!」と言うと、

彼女たちから、

「いやいや、それはいらない!」と断られました。


一杯百円しないかもしれない、

でも彼らにとったらそれなりのお金なのかもしれないのに。





その瞬間、


なぜ見ず知らずの外国人の私にごちそうをしてくれるのか、

しかも自惚れかもしれないが、私は先進国から来ていて、

多少お金は持っているだろう、


その人に対して奢ってもらうこともせず

騙そうともせず、

学生が私の分までお金を払おうということが、

自分には信じられない。


衝撃と感動と。



さらに考えると、

何時間前までは、自分はこの子達を疑っていた、

ここまでしてくれる子達にそういう態度でいた自分が恥ずかしい、

という複雑な感情も湧き上がってきました。


心を揺さぶられた

「一杯のコーヒー」


彼女彼らのピュアな姿と気持ちが忘れられない。



この日が自分の人生の分岐点


心を揺さぶられた

ご馳走になった一杯のコーヒーの代金を

どこでどう返したらいいのか、

その後の人生で、常に心に問いかけながら進んでいくことになります。



恐れずに疑う


このベトナムの旅で、

この後の生き方が変わります。



ベトナムの彼女彼らとの出会いから、

教わったこと。


人は疑わずに、、、と言いたいところですが、


あの時の自分に伝えたい。


疑ってよかった、


恐れず疑っていい、


相手を気にせず、悪いと思わずに恐れずに疑うべきだ。


初対面、海外、異なる環境であれば、

なおさら、とことん疑うべき。


そして、冷静に対処した上で、恐れずに人を信じるべきだ。




彼女彼らに直接、あの「一杯のコーヒー」のお礼はできないけれど、

どうやって恩を返して行こうか、、、




この仕事を始めた原点に、

そんな想いが揺らがない柱のように軸を成しているのです。


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